この度、第25回肝類洞壁細胞研究会学術集会を平成23年12月17日(土)・18日(日)に東京の地でお世話させていただくこととなりました。この栄誉を賜りました世話人の先生方をはじめとする、関係各位に心より御礼を申し上げます。
ご承知の通り、この研究会は25年前に久留米大学名誉教授(元 日本肝臓学会理事長)谷川久一先生が久留米の地で旗揚げをされ、わが国における肝類洞の解剖学・生化学、生理学・免疫学・分子細胞生物学の発展に、大きな貢献を果たしてきました。肝類洞を構成する非実質細胞は、肝臓における炎症や線維化・発癌などの病態形成に深く関わり、肝類洞壁細胞の研究を通して細胞分子メカニズムの解明に立脚した肝疾患の新たな診断と治療戦略の構築を目指すことは、重要な研究課題となっています。とりわけ近年では、メタボリック症候群の肝臓病変とされる非アルコール性脂肪肝炎の病態形成や肝移植に伴う諸問題を理解する上で、また肝再生機序を解明して再生医療の実現化を目指す上でも、肝類洞壁細胞が果たす役割が一層注目されているところです。しかしながら、わが国ではこれら肝類洞壁細胞研究の重要性に関する認識が甚だ乏しく、それ故にこの分野の研究者人口も欧米に比して未だ少ないのが現状です。四半世紀前に、既にこの学問の重要性を指摘された谷川先生の先見の明には、ただ敬服するばかりです。
さて、歴史は単に古いことが尊いのではなく、その間に何がなされたか、また今後は何を目指していくかにより評価されるものと考えます。これまで、本研究会が果たしてきた役割の大きさは論を待ちませんが、第25回の記念学術集会を迎えるにあたっては、肝類洞壁細胞研究の現状と問題点、さらには今後の方向性について深く議論を重ねたいと願う次第です。わが国のこれからの肝類洞壁細胞研究ひいては肝臓学を背負って立つ臨床家ならびに研究者を育てるたいへん意義深い研究会であり、多くの先生方のご参加を心よりお待ち申し上げます。
クリスマス・イルミネーションが輝く、東京でお会いしましょう。