2017年1月より、谷川久一先生、渡辺純夫先生の後任といたしまして、伝統ある肝類洞壁細胞研究会の第三代目の代表世話人に就任いたしました。偉大な先輩お二人の後を引き継ぎ、本研究会をさらに発展させるべく全力で任に当たりたいと思います。何卒よろしくお願い申し上げます。
ご承知のとおり、肝類洞壁細胞研究会は、谷川久一先生、故市田文弘先生、故浪久利彦先生、故高田昭先生を中心に発足し、谷川久一先生の御世話で第11回までは毎年12月に福岡県久留米市のホテル翠香園で開催されました。本研究会の特徴は基礎研究者と臨床医が垣根を超えて議論し懇親を深めることであり、事実この分野の世界的権威、和氣健二郎先生、にも会の中心的役割を担っていただきました。
第1回研究会(私は出席できなかったのですが)は準備委員会を兼ねた会であったとお聞きしておりますが、2回目以降は演題募集を行い、多数の演題と参加者が集う活発な会となり、最盛期には200名を超える参加者がある会となりました。
12回目以降は当番世話人を交代制で決定し、世話人が開催地やプログラムを決める形式で現在まで継続しています。本会はその名の通り、類洞壁を構成する細胞群の形態学、細胞生物学を主テーマとしておりますが、肝臓の炎症や線維化、さらには発がんは肝細胞や胆管上皮細胞、肝臓に浸潤する炎症細胞、骨髄細胞など多種多様な細胞の相互作用で病態形成されます。
従って、本研究会では類洞壁細胞を中心とする細胞社会学により、肝臓の生理・病理・病態を、特に臨床に則したテーマで議論することを継続してゆきたいと考えております。それらには、ウイルス性・非ウイルス性の急性ないし慢性肝障害、アルコール性・非アルコール性肝炎、肝線維化・肝硬変・肝不全、肝がんや肝再生など全ての領域の肝病態が含まれます。また、肝臓と脾臓、膵臓、消化管など他臓器相関も今後の重要なテーマとなりえます。
私自身もそうですが、肝類洞壁細胞研究会で活躍され、鍛えられた多数の先生が教授になられており、種々の学会でも活躍されつつ後輩の指導にあたられています。また、本研究会の特徴は海外研究者と人脈を持たれている先生が参集されていることであり、特別講演などでは国際的に著明な先生とお会いする事ができます。一方、類洞壁細胞研究分野においても研究レベルは急激且つ格段に高くなり、分子・遺伝子生物学的研究手法を駆使して解析をより深める事が求められています。
本会を通じて多くの若手医師・研究者に肝臓研究の楽しさ、厳しさを味わっていただき、我が国を代表する医学研究者への道を歩んでいただきたいと考えています。