第35回肝類洞壁細胞研究会学術集会
ご 挨 拶(第35回肝類洞壁細胞研究会学術集会を終えて)
第35回肝類洞壁細胞研究会学術集会 当番世話人
新潟大学大学院医歯学総合研究科 消化器内科学分野
教授 寺井 崇二
寺井 崇二先生写真  この度、第35回 肝類洞壁細胞研究会 学術集会を2021年12月16日(木)、17日(金)の2日間に渡り、朱鷺メッセ(新潟コンベンションセンター)において開催させて頂きました。今回は『肝類洞壁細胞のエコシステム』をテーマに掲げまして、未来に継続的に発展する研究会を目指し、肝臓研究の最先端を走る著名な先生方のご講演や、若手研究者セッション9題を含む25演題など、充実したプログラムを構成することができました。お陰様で、現地参加者65名、WEB参加者35名の100名の先生のご参加を頂き、盛会のうちに幕を閉じることができました。
 特別講演の仁科博史先生には、肝臓の形成に重要な遺伝子、それを紐解くためのこれまでの研究過程、YAPの発見と細胞増殖への関与と、細胞競合による恒常性維持、治療への応用のための知見についてご講演を頂きました。最先端の研究内容のみにとどまらず、解析手法含め多くを学ばせて頂くとともに、研究の楽しさを改めて実感しました次第です。
 また、1日目のイブニングセミナーではDetlef Schuppan先生に「NASH and liver fibrosis: From mechanism to novel therapies and biomarkers」と題したWEB講演を、ドイツより頂戴しました。線維化におけるcollagen の種類とその意義、NASHのメカニズムから肝線維化治療の開発、そして臨床試験に及ぶbench to bedsideの最新の知見を発表頂き、深いディスカッションがなされました。
 新企画の技術紹介セッションでは、新潟大学の4名の基礎系教授をお招きしました。電子顕微鏡を用いた最先端イメージング技術、リンパ管形成を制御する血管由来因子の研究、ミトコンドリアオートファジー研究、次世代型定量プロテオミクス解析など、最先端の解析手法・技術を紹介頂き、肝臓研究への導入の可能性について共有することができました。さらに、企業協賛セミナーでは、肝臓分野において日本を代表する先生方に様々な視点でのご講演を賜りました。
 基礎から臨床までを俯瞰し、かつ各領域の知見を深めることができた2日間ではなかったでしょうか。ご参加頂きました皆様にも有意義な年次集会だったと感じて頂けているようでしたら幸いです。若手の先生方も新たな視点での若々しい発表をされており、今後のさらなる飛躍を期待しております。
 今後も本研究会から、肝臓領域における新たな知見が生まれ、各先生方が益々発展されることを祈念しまして、挨拶とさせて頂きます。末筆ながら、参加して頂きました先生方、会員の皆様、協賛企業の皆様、運営にご尽力くださったスタッフの皆様に深謝申し上げます。
第35回肝類洞壁細胞研究会学術集会