特別企画「肝類洞壁細胞研究、30年の歩みと今後の展望」では、本会を始められた谷川久一先生に本会30年の歴史と目指してきた歩みを、また大阪市大の河田則文先生には本会をとおした肝類洞壁細胞研究の醍醐味をたっぷり聞かせていただきました。
老若いずれの会員もそれぞれお二人の類洞壁細胞研究に対する熱意をひしひしと感じるすばらしい御講演で感激しました。また特別講演1はCedars-Sinai Medical Center, LA から石亦宏先生をお招きし、「Inflammatory signals regulate liver fibrosis and carcinogenesis」の講演をしていただきました。
石先生はアメリカで研究室を立ち上げられ意欲的に研究を展開されていますが、海外に飛び込む若い力に刺激された先生も多かったのでは、と思います。是非若い先生方には勇気を持って海外で羽ばたいて欲しいと思いました。又、特別講演2では大阪市大の共催を得てUniversity of Massachusetts Medical CenterのGyoigyi Szabo 先生に「Cellular and molecular mechanisms of inflammation in steatohepatitis」の講演をお願いしました。
英語もわかりやすく大変よく整理された御講演で、NASHとアルコール性肝障害発症の分子機序が大変わかりやすくて勉強になりました。また今回はシンポジウムとして、「肝類洞壁細胞からみたNASH病態と治療法の開発」を公募しました。いずれの演題も聞き応えのある内容で、充実したシンポジウムとなったと思います。
1日目の夜には会場隣のANAクラウンプラザホテルの懇親会場で富山の冬の味覚を皆様にご賞味いただきました。残念ながら懇親会に参加できない先生もおられた様ですが、富山の日本酒を楽しんでいただいた先生も多かったように思います。
今回は図らずも、NASHの演題が大変多かったことが大変印象に残りました。NASHだけでなく肝障害の機序として類洞壁細胞研究がまだまだ必要であることを再認識いたしました。又、外科の先生のご参加も目立ち、特に 今回初めて肝移植にからむ演題が数題発表されましたが、まだまだこの分野の研究が解明されていないこともわかりました。
さらに、肝再生、発癌における類洞壁細胞の役割に関する研究も素晴らしく、基礎と臨床を結びつける課題がまだまだ残されていることを再認識した2日間でした。本会は基礎・臨床の垣根を越えた肝臓病学の探求に興味を持たれた先生方のご参加が多く、今後とも若い先生方に参加していただき会を発展させていただければ、と念願しています。
何かと至らぬことが多かったと思いますが、ご参加いただいた多くの先生方に厚く感謝すると共に、ご講演・ご発表いただいた先生方、また運営に御協力いただいた教室員をはじめ関係諸先生方に深謝いたします。